天章堂 印面

天章堂の印面は墨・朱墨が塗ってないのはなぜ?

仕上がり品 天章堂
上はWeb掲載用の写真です。掲載用に見栄えを意識して、印面の墨・朱墨を残しています。通常は墨・朱墨を落とします。


天章堂の印面は墨・朱墨が塗ってないのはなぜ?

当店の仕上がり品(お客様にお渡しする品物)は、原則として上の画像のように印面の墨・朱墨は残しておりません。
違和感を持つ方もいらっしゃるかと思いますが、これには理由があります。
後ほど掲載する画像のように印面の墨・朱墨を落とした状態でお渡しをいたします。

そもそも、なぜ墨・朱墨を塗っている?

墨・朱墨を塗るのは製造方法と関わりがあります。まずは完全手彫りの場合は印面に直接文字を書き入れます。その時に墨ないしは朱墨で文字を書くのですが、黒水牛だと印材が黒なので朱墨で書き込みます。(彩樺も同様です)黒い印面に墨で書いたら読めませんからね笑

ちなみに当店では印影用紙に手書きした原稿をスキャナーで読み込んで、荒彫り(70%程度を大まかに彫ること)を行いますので印面に直接文字は書き込みませんが、印面を平にした後に仕上げ彫りを行うために、本柘・象牙なら墨を、黒水牛。オランダ水牛・彩樺なら朱墨を塗ります。

多少の製造工程の違いはあっても、仕上げ彫りをするために印面に墨・朱墨を塗る必要があるですが、結論を言うとその名残りが印面の墨・朱墨です。まあ何が彫ってあるのか分かり易いですし、見栄えも良いので残しているお店が多いと思います。余談ですが100%コンピューター彫刻はこの見栄えのためだけに墨・朱墨を塗っています。

ではなぜ、墨・朱墨を落とすの!?

答えは簡単です。捺印した時に朱肉のノリが悪くなってしまうからです。墨・朱墨ともに朱肉を少し弾いてしまいます。たっぷり朱肉をつけてもなぜかカスれてしまう原因の多くは実はこれです。そもそも印面が平ではないので上手く押せない状態のものは論外ですが。。。

朱・朱墨を落とした状態
実際の印面画像です。印面は少しボカしています。

天章堂の印面は墨・朱墨が塗ってないのはなぜ?まとめ

印面の墨・朱墨は印面の見栄えが良いのですが、捺印時にはカスレの原因となる厄介なものです。天章堂では、仕上げ彫りが済んだ後に綺麗に取り除きます。馴染みがないかも知れませんが、綺麗な印影を押すことを重視させていただいております。
実は柘の墨を落とすのって結構大変なんです。椿油を一定時間染み込ませてから、半乾きの布でゆっくり丁寧に擦って取り除きます。小さいことですが、その小さな一つの作業が大切だったりします。これで天章堂の印面は墨・朱墨が塗ってないのはなぜ?についてお分かりいただけたと思います。

象牙の彫り直し(改刻)の場合は印面保護の観点から、あえて墨は残しています。拭き忘れではありませんので笑

手書き文字・手彫り仕上げ印鑑 天章堂 公式HPページは以下から直接ご覧いただけます。

手書き文字・手彫り仕上げ印鑑 天章堂 公式HP

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天章堂の印面は墨・朱墨が塗ってないのはなぜ?(終わり)