書体は篆書体と八方篆書(印相体)どっちがいいの?

篆書体と八方篆書(印相体)の違い

まずは「篆書体(てんしょたい)」と「印相体(いんそうたい)」の違いについて解説します。
どちらも一見複雑で読みにくく実印に適しているように思えますが、実は両者には大きな違いがあります。
その違いとあわせて、私たちが文字デザインをする際に目安にしていること、また選び方までご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。読み終わればそれぞれの違いがわかり、作成する際にもイメージできるようになるはずです。

篆書体のついて

歴史:漢字の書体の1つで、秦の始皇帝の時代に創始したものといわれています
デザイン:1文字ずつ独立しているため、上下左右や文字間に空きができ、複雑だがある程度識字できます
一般認識:日本のお札にも捺してある、由緒正しい文字です

  篆書体(徳川家康)

八方篆書(印相体)について

歴史:戦後に印鑑にも相があるとし、篆書を元に変形させたデザインとして誕生したそうです
デザイン:篆書の線を伸ばし付けるため空きがなく複雑で、かなりアレンジされているため判読が難しいのが特徴です
一般認識:吉相体や八方体などとも呼ばれ、縁起が良いと思われている方が多くいらっしゃいますが、明確な根拠はありません。当社ではデザインの選択肢として取り扱いをしております。

八方篆書(徳川家康)

書体選びは、フィーリングが命です

作り手の私の意見を申し上げますと、格好がよければどちらでもよいと考えています。こう言ってしまうと元も子もないような気がしますが、やはり文字の組み合わせに対して、最適な方がいいですよね。

お名前の組み合わせは様々です。
一番多い漢字4文字だけでなく、お苗字が4文字で名前が1文字、画数の多い少ない組み合わせや、カタカナ・ひらがなのお名前を持っていたりと様々です。
当然その組み合わせによって最適な書体も変わってくるので、言い伝え云々よりもデザイン力、つまり格好がよい方が良いと考えます。
とはいえ格好のいいの判断は当然人それぞれですし「できればこっちの方が・・・」といったこだわりもあることでしょう。
例えば上記の「徳川家康」という文字もアンケートをしてみると、半々くらいに好みが分かれます。そのため書体を選ぶ際にまず最初は、見本のどちらがパッと見た時に好みか?を感じてみてください。フィーリングはとても大事です。
どうしても篆書や藤原流篆書が好きだけど、ひらがなのお名前だとおすすめはできなかったしますので、その辺りはご相談いただければと思います。

レトロ好きなら藤原流篆書

藤原流篆書は、印篆を小篆調・小篆風に独特の雰囲気にアレンジして、時には金文・古文等の字を使ったりして、芸術性をより表現しています。篆刻の風合いを意識し、文字の形態に遊び心を入れたオリジナルの書体です。彫り方も特徴を出すために刀の味『サビ』を加え手彫り彫刻しております。古い時代の文字を使い、篆刻風のサビを施すので、レトロな雰囲気を醸し出せます。少々価格は上がりますが、デザイン性・セキュリティー面からもおすすめの逸品です。ひらがな・カナカナは日本で生まれた文字なので、漢字と同じ雰囲気にすることが難しいことが理由でお受けしておりません。
※たまに「それでも良いので藤原流!」と言っていただく場合はお受けしております。

 藤原流篆書(徳川家康)

デザインをする際に考慮にしていること

私たちが文字デザインをする際、またご提案する際に意識していることをご説明します。

  • フルネームの場合
  1. 文字数が左右で異なるか?
  2. 画数の多い文字と少ない文字の組み合わせか?
  3. カタカナ・ひらがなが混じっているか

基本的にはどちらの書体でもバランスよく彫れますが、上記の場合は八方篆書をおすすめすることが多いです。
つまり逆にいうと、バランスを重視するのであれば、漢字4文字以外は八方篆書が合わせやすいと考えています。どんな組み合わせにも比較的対応しやすく、収まりも良いと言うことです。

  • 銀行印の場合(フルネームではない)※三文字まで
  1. 縦がお好みなら印相体
  2. 横がお好みなら篆書体

お名前だけやお苗字だけの場合、比較的「縦か横」を最初から希望される方は、実は少ないです。
と言うより横の選択肢を知らない方が多いのが実情です。これはおそらく、三文判が縦のレイアウトであることが理由だと思います。本来文字は縦長ですし、縦長に書いた方が綺麗に見えます。
元の文字でもある篆書は字形が縦長のため、やはり横のレイアウトが綺麗に見えます。
篆書の線を伸ばして繋げる八方篆書は、アレンジが効きますのでどちらでも一定程度のデザイン性が保てます。縦にこだわりがある場合は、無条件に八方篆書をお選びいただいて良いと思います。例えば「青木」さん、「太田」さんなど左右対象の文字だとが八方篆書の縦はなかなか良いですよ。

最後に

今回は、書体のデザインの仕方から選び方までご紹介しました。
無限大の文字の組み合わせの中で、皆さまのお名前との共通項があって多少はイメージができたかと思います。
手彫りと言うキーワードで当社を見つけていただくことも多いのですが、彫刻はあくまで手段です。そもそもの文字にデザイン性がなければ、彫刻もあまり意味を成しません。
一生のおつきあいになる印章です。
あなただけの、納得のデザインが見つかると良いですね!