印材天地の決め方

印鑑の天地の決め方

アタリ付きの印材ですと自動的にアタリのあるところを利用して天地を決めます。
アタリなしの印材だとどこを目印に天地を決めているのか?分かりませんよね!?
実は私も彩樺を扱い始めた頃に、何も気にせずに天地を決めていました。
今回は印鑑の天地の決め方について解説いたします。

お客様に教えられました

ある日、お客様からメールで
「天部分にある木目に天地を合わせて欲しかった」
「それって常識じゃないですか」
と言われて困った経験があります。
文字のデザインばかりに気を取られて、全く気に留めなかったことでしたが「確かにそうだよな〜」と考えさせられました。

人によって「好み」や「当たり前」は異なります

それ以来アタリが無い印材の天地決めにも慎重になりました。
こういうトラブルがあってルールを決めましたので、今回は天地決めのルールを紹介させていただきます。
※他店では異なるルールも存在すると思いますので、あくまで天章堂のルールだと思ってください。

アタリについて

まずはアタリについて説明させていただきます。
アタリとは印材のどちらが上(天)なのかを示す目印です。
または指型という言い方もあります。
アタリがあることによって、上下(天地)を確認せずに捺印ができますので認印などでは重宝されています。

当店のおすすめはアタリなしです

利便性だけを考えればアタリ付きの方が良いと思われる方も多いと思いますが、
当店は実印・銀行印には基本的にアタリ付きをおすすめしておりません。
理由としては、天地が分からないので、大事な契約の時に捺印前に少し間が持てることが挙げられます。
本当にこの契約をして良いのか?捺印前に少しでも考え直せる間が必要だと思っていることが理由です。
また、迷信っぽいですが大事な印鑑は自分の分身だから、その体に傷をつけることを好まないお客さまが一定数以上いることも挙げられます。
いずれにしましても天地がわかるように天シールを貼らせていただきますので、
天地が分からないってことはありませんのでご安心ください。

アタリ付き印材は、下の画像のように側面に凹みがあります。
この凹みがある箇所を上(天)にして、その逆を下(地)にして印面を仕上げて行きます。
1)当店では、本柘・彩樺・黒水牛でアタリ付き印材をご用意しております。
2)象牙・オランダ水牛・天然黒水牛・宝石印各種にはアタリ付きはご用意ありません。
3)チタン印各種は、アタリスワロフスキーを埋め込みます。 詳しくはこちら https://www.tenshoudo.jp/blog/?p=309

本柘アタリ付き
画像は本柘ですが、アタリ付きの見本です。
本柘 アタリなし
こちらはアタリ付きではなく、天シールです。アタリ無しを選ぶとこのような形で納めます。


天(上)の決め方

前置きが長くなってしまいましたが、本題です。
本柘・彩樺に関しては、印材の天部分にある木目で天地を決めます。
木目が縦になっているどちらかを天(上)にします。
側面に年輪のような模様がある場合や目印になりそうな木目がある場合もありますが、あくまで天部分の木目で決定します。

天部分
天部分の木目で上の画像の通りに、天地(上下)を決めます。
側面部分
側面の模様では天地は決めません。

オランダ水牛・天然黒水牛ですと側面や天部分に模様がありますので、そちらを利用します。
優先順位は①側面の模様→②天部分の模様→③天部分の芯がある場所の順で、①で良い模様があれば即決定です。

オランダ水牛 側面
こういう模様があるとベストです。
オランダ水牛 天部分
見本はあまり模様が目立ちませんが、こういう模様を目印にします。
芯
側面・天部分に模様が無い場合は↑のような芯の位置で決めます。

まとめ

この説明で適当に天地(上下)を決めているわけではないと分かっていただけたと思います。
全部アタリ付きにしてしまえば、考える必要もない話ですが、実印・銀行印はアタリなしをおすすめしている立場上考えざるを得ません汗
認印はアタリ有り・実印と銀行印はアタリなしがやっぱりしっくりきます←しつこくてすみません!
後日談ですが、最初に紹介したお客さまは納期に余裕があったので、印材を送ってもらい彫り直しさせていただきました。

手書き文字・手彫り仕上げ印鑑 天章堂公式HP
手書き文字・手彫り仕上げ印鑑 天章堂

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